竹ヶ花日記

高齢出産を経て松戸で子育てしながら働く母さんの日記です。

Eディスカバリーでの翻訳 馴染みのない業界の知識を身に着けるために私がやっていること

私は法律事務所でEディスカバリーのレビューを担当しています。弁護士ではなく、パラリーガルの立場です。

Eディスカバリーのレビュー、分析の結果や、収集したESI(電子保存情報)の内容を米国の弁護士に報告する際、必要となるのが日本語から英語への翻訳作業です。

この際に調査対象の業界の全体像や専門用語に関する理解があると、質の高い翻訳ができます。「質の高い翻訳」、つまり原語における内容を正確に伝えられる翻訳です。

現在携わっているEディスカバリーの仕事を始める1年ちょっと前、私の自動車(部品含む)や自動車業界に関する知識は皆無といってよいほどでした。運転免許も持っていないので、クルマがどういう構造で、どのように動くのかも知らなかったのです。

そんな私が職場に来てすぐに、「この自動車部品作ってる会社の内部メール訳して」と言われて、翻訳をし始めたのですが、困ったことがいくつも出てきました。いくつか例を挙げると、

  1. 業界用語の英訳がわからない。辞書を引いても辞書に載っていなかったり、掲載されている訳が自動車業界には該当しない。
  2. どういう流れで商品が生産されているか知らないので、翻訳対象の文書が生産のどの段階において読まれているものなのか不明。
  3. 自動車・自動車部品に詳しくないので、自分の翻訳が原語の内容を正しく伝えられているかどうかの判断ができない。

今、書いていてあらためて感じたのですが、これでは産業翻訳をするにはあまりにも心細いです。

そこで情報収集と学習なのですが、インターネットには本当に助けられ、今もとりあえずはネット検索をしています。

しかし、インターネット上の情報は玉石混交。内容の真偽、信憑性という面では心もとないことも。

そこで、とりあえず一冊の本を購入しました。職場の近くに丸善があるので、とても助かります。

「つくり方からしくみまで プロが教える自動車のすべてがわかる本」 古川修監修 ナツメ社

この本は写真や表が豊富で、クルマど素人の私にも内容が理解しやすかったです。職場の本棚に常備しています。

日本語で内容が理解できると、単語の英訳が辞書で見つからなくても、「自動車部品で、こういう機能のもの」と英語でウェブ検索をして、該当する単語を見つけやすくなります。グーグルの画像検索も大活躍です。

しかし、自動車という商品の概要がおぼろげながら掴めてきた一方、生産の流れについてはまだまだイメージが浮かびませんでした。部品メーカーの営業同士でやりとりするメールには「段確」、「量確」といった、生産段階を示す用語がどんどん登場します。そこで、

「図解雑学 自動車業界のしくみ」 池原照雄 ナツメ社

「トヨタ生産方式を徹底的に理解するためのキーワード集」 トヨタ生産方式を考える会編 日刊工業新聞社

を一通り読みました(2冊目は特にきちんと)。

こうして業界や商品に関する基本的な知識を学びつつ、日本経済新聞やカスタマイズしたグーグルニュースで自動車に関するニュースに目を通します(毎日出来る範囲で)。最初は読んでいても理解できないことが多いですが、そこは粘ります。

これを続けていく内に、翻訳をしやすくなりました(私の場合は日英翻訳が主)。

今後、新しい業界の翻訳をする際にも、上のような流れで業界の雰囲気と知識に慣れて行こうと考えています。